マセソン美季さん「やさしさに頼らず人権尊重を」

 『あけぼの 人間に光あれ』のはじめのほうのページに「人権ってなんだろう? 人権と思いやりは何が違う?」という資料があります。どう、学校現場に発信していくか、改訂員会で悩んだ資料です。そのヒントになる記事に出会いました。

 8月21日信濃毎日新聞の「共生社会の実現」についての記事で、マセソン美季さんの言葉が目に留まりました。(長野冬季パラリンピックのアイススレッジスピードレース金メダリスト)

 「心のバイアフリー」という言葉も、日本ではどうしても「思いやりで手を差し伸べましょう」というふうに聞こえてしまう。移動の自由は基本的な人権です。優しさに頼らず、人権を尊重する意識が必要です。

一校一国運動の財産とするべきものは大切にしたい

  6月29日の信濃毎日新聞に、長野五輪パラリンピックで一校一国運動を提唱された小出博治さんがご逝去された記事とともに、三本柳小の一校一国運動のことも載っていました。一校一国運動が始まった当時、会議に出席していた三本柳小の校長先生は、なじみの薄いボスニアヘルツェゴビナが相手国と決まった時に、学校へ帰って先生たちに何と説明しようか悩まれたとお聞きしています。しかし、三本柳小の千葉先生をはじめとする先生たちが子どもたちと取り組んだボスニアヘルツェゴビナへの支援と学習が、地雷撤去の活動とつながり、現在の三本柳小とルワンダとの交流に結びついた経過があります。長野五輪パラリンピックでは、ホワイトスノー作戦など現在の課題につながることも起きましたが、平和と人権に関わる財産は大事にしていきたいと思いました。

「今国会の法案提出は見送られたが…LGBTQ理解へ信州教育の一歩」

 6月16日の信濃毎日新聞に、標記の見出しで、『あけぼの』に「性の多様性について考えよう」の教材を追加したことが紹介されました。

 学校の先生たちが基本的な教材研究や研修をすれば、それぞれの学校現場で学習を進められるということを念頭に編集しました。

 信毎の記事には、当事者の方から「先生にも生徒にも取り組みやすいはず」「当事者が自分の性を生きていていいと内容がないのが残念」「性的少数者が自分はおかしいのではないかと悩むことがないよう、当事者を大切にし、生きていいというメッセージを発信してほしい」というこれからの取組の方向を明らかにする大切なご指摘がありました。

 

戦争がなく人権が尊重される未来のために

 5月4日の朝日新聞に「毒のデマ 100年経てよみがえる」と「軽い発信 軽んじられる歴史」という見出しで、ツイッター上の投稿についての記事がありました。歴史の学習が大事だなーと改めて感じました。

 『あけぼの 人間に光あれ』には、満蒙開拓の教材がありますが、改訂にあたり、県立歴史館の福島さんの次の文章を掲載させていただきました。

 …「過去」に対して正確な認識を持ち、「現在」起きている事象と重ね合わせ、「未来」を考える。歴史を理解していかなければ、自分の言葉で未来は語れない。特に若者には、足元の信州の歴史を学んで深く理解し、戦争がなく、人権が尊重される、よりよき未来を語れる主権者となってほしい。

「インクルーシブ」という概念について

 『学びの本質を解きほぐす』(池田賢市著 新泉社)を読んでいたら、「インクルーシブ教育とは、障害の有無ばかりでなく、性別や国籍、成績の良し悪し、また家庭の経済状態など……どんな子どもでも排除されることがなく、ともにいることができる教育のあり方を指す言葉である。」とあり、フランスの例を紹介していました。日本では、国連の障害者権利条約からインクルーシブの概念が広がったと思いますが、知らない話でした。

NHKスペシャル「子どもの学びは守れるか」再放送が今晩(4月27日)あります

 午前0:25からなので録画がいいかもしれません。

 大阪の公立中学校で、多様な背景をかかえた子どもたちが、先生たちだけでなく、同級生や地域の人たちに支えられながら、学びを獲得していく姿がえがかれていました。制服への違和感から不登校になっていた生徒が、自分自身を語れるって目指す学校の姿だとと思ったり、不利な環境の下で頑張っている子に地域の支援がはいっているところもすごいと思いながら見ました。厳しさと豊かさを感じる番組でした。こうした実践のレポートが、今年の全国人権・同教育研究大会(新潟大会)に集まってくるはずですが…開催できるといいのですが。

「ヤングケアラー」への教職員の意識について

 厚労省の調査発表を受けて、4月13日、14日と、「ヤングケアラー」についての報道が続きました。朝日新聞に第一面に「家族の世話を担う子中高生の20人に1人」の見出しで載っていました。「あけぼの 活用の手引」に掲載されている高齢者の人権を扱った教材の留意点には、十分ではありませんが次の記述を入れてみました。「自分を『ヤングケアラー』と認識している生徒もいるだろう。ケアの対象者は、きょうだい、母親の順に多く、祖父母は少ないとされているが、自分の経験と重ねながら考える生徒の存在を意識したい。」現場では、すぐに支援が必要な場合もあるかもしれません。外川正明さんの『教育事始』の冒頭にあったランドセルの言葉を思い出しました。「40人の子どもは、同じ教科書だけをランドセルに詰めてきているんじゃない。それぞれ40の生活を詰め込んで、それを背負って学校に来ているんや…」